SEN.RETORET TAKIJIRI

計画期間
2024.02~2024.11
施工期間
2025.01~2025.06
所在地
和歌山県 田辺市 中辺路町 真砂 297−1(日本)
PHOTO
八杉 和興
CL
株式会社ユニスト・ホールディングス
設計
株式会社 クル + coil松村一輝建築設計事務所
施工
株式会社 大峯組

和歌山県田辺市中辺路町、世界遺産・熊野古道の起点のひとつである滝尻王子のすぐ近くに位置する本計画は、古道を歩く旅人を迎え入れるSEN.RETREATブランドの簡易宿所です。計画は、かつてペットショップとして使用されていた木造および重量鉄骨造の混構造2階建ての建物を、無人受付運用に対応した宿泊施設へと改修するものです。

施主からは、シャワー・トイレ付きの個室(和室)を4室と、小さなキッチンを備えた共用ラウンジ、ランドリーを設けるという要望があった。旅の途中で立ち寄る拠点として、機能的で簡潔であることと同時に、滞在に安らぎを与える空間が求められました。

敷地は富田川沿いの斜面地にあり、車道からは2階レベルでアクセスし、1階の出入口からは川辺に向かって斜路が続いている。この高低差を含んだ地形条件を踏まえ、建物の立体構成と川との関係性が設計上の重要な要素となっています。

設計においては、既存建物のビビッドな配色や複雑な増改築の痕跡を整理し、周囲の自然環境、特に川との調和を意識した。外装は色むらのあるセメント系サイディング材(SOLIDO)で全面的に張り替え、彩度を抑えた落ち着いた外観とした。また、一体化していた外形を部分的に減築し、複数の小さなボリュームが重なって見えるような構成とすることで、建物のスケール感を調整しています。内装は川石をモチーフに、グレートーンを基調とした素材構成とし、開口部は最小限に絞りながらも、窓の先に見える川の風景が印象的に切り取られるように設計しています。

SEN.RETREATが掲げる「自然への畏敬と地域への還元」という理念のもと、本計画は滝尻の地における宿泊の場としてだけでなく、熊野古道全体の巡礼体験の一部として機能することを目指しました。すでに稼働している高原・近露に加え、今後の本宮・小口と連動しながら、地域ごとの特色を持った滞在の拠点が整うことで、この道を歩く旅の記憶をより豊かにする一助となることを期待しています。


主要用途 簡易宿所
規模・構造 木造一部鉄骨造 2階建て
用途地域:市街化区域外(指定なし) 防火地域:指定なし 熊野参詣道特定景観成形地域(R311沿道)
前面道路幅員 9.8m
敷地面積 287.89 m2 ( 87.17 坪 )
建築面積 86.59 m2 ( 26.20 坪 )
延床面積 163.96 m2 ( 49.61 坪 )
1階床面積 86.59 m2 ( 26.20 坪 )
2階床面積 77.37 m2 ( 23.41 坪 )

設計協力 TSUGU DESIGN 松本 晃樹
構造設計 ステラジアン 原田 順三
電気設備設計 古久保電器店 古久保 友也
機械設備設計 (有)なんわ設備 寒川 修

□主要外装仕上げ
屋根  ガルバリウム鋼板縦ハゼ葺き
外壁  窯業系サイディング(SOLIDO / KMEW)
サッシ 木製建具制作、アルミ既製品
手摺  スチール制作
サイン スチール切り文字焼付塗装

□主要内装仕上げ
内壁 クロス貼り
床 アカシアフローリング(スタンダードレーベル)、CFシート
天井 クロス貼り
カウンター ゴム集成材
建具 桧框戸、ラワン合板フラッシュ
階段・手摺 ゴム集成材、栂制作
取手等 カワジュン、ミラタップ
家具 KANADEMONO
厨房機器 IKEA、カクダイ、リンナイ、Electrolux、富士重工
衛生機器 LIXIL、INAX、ミラタップ
照明器具 コイズミ、オーデリック、Panasonic、その他

大工     岩本工務店、堀瀬工務店
建具     有田トーヨー住器(株)、谷建具店
建材・内装  (株)横田
塗装     中西塗装
防水     (株)カメヤ
屋根・外壁  (株)谷本板金
解体     (有)千ノ本石材
仮設     (株)紀州信和サービス
電気設備   古久保電器店
機械設備   (有)なんわ設備
外構     (株)川本商会
サイン    サン工芸

 

 

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Kazuteru Matumura Architects.
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